うつ病は「心の風邪」ではない
誰が言い出したかは知りませんが、「うつ病は心の風邪」と言われます。
それはある意味正しくて、ある意味間違いです。風邪のように誰でも患う可能性がある、ということを世間に広めてくれたことはいいことです。しかし、風邪とは決定的に違うことがあります。
それは風邪のように簡単に治らないことです。
「投薬治療を続けながら、仕事をセーブすれば徐々に良くなるだろう。だって心の風邪みたいなものだからそのうち自然治癒するんでしょう?」
そう思っていた時期が僕にもありました。でもそんな簡単な病気ではないんです。風邪の症状が辛くて自殺する人がいますか。仮にあなたが事故で全身を複雑骨折した場合、出社を継続しますか。聞くまでもなく、会社を休んで入院するしか選択肢はないです。
ではなぜ、うつ病だと会社を休むという選択肢を選ぶことが難しくなるのですか?
うつ病に一番必要なものは早期の「休養」です。医者の処方してくれる「抗うつ剤」だけではダメです。
実際に僕もうつ診断から休職までかなり渋っていたので、休職に踏み切れない人の気持ちはよくわかります。僕は医者の忠告を無視して出社を続けていました。
そんな僕の経験から、うつ病になったら会社をすぐに休職すべき理由を3つ説明します。
理由1. 会社の評価はどのみち悪いから気にしない
多くの会社では、体のいい人件費カットのために人事評価制度を導入しています。日本ではJob description(職務記述書)もないのにどうやって評価しているのかは非常に疑問の残るところですが、知りうる限りの会社の多くは減点方式、かつ相対評価で評価しています。
休職などは絶好の評価の減点対象です。それが嫌で僕は休職を渋っていました。
しかしよく考えてみてください。うつ病の状態で100%の力で仕事ができますか?僕はできませんでした。僕の場合はせいぜい30-40%が限界でした。
うつ病を隠しながら働いて仕事をやり切ることには何の評価価値もありません。
現場の管理職はうつ病でパフォーマンスの悪い社員でも、出社している以上は現場の頭数としてカウントしなければなりません。100%で働けないのなら、出社されるだけ迷惑です。休職して現場の頭数が減れば、頭数を補うために会社との要員調整が楽になるからです。
休職せずパフォーマンスの悪い状態で働いてもこれまた絶好の評価の減点対象です。それであればさっさと休職した方がお互いのためなのです。
理由2. 会社や仕事はあなたがいなくてもまわるから大丈夫
僕のまわりでうつ病になった人は全員が義務感、責任感の強い人でした。仕事に対して真剣に取り組んでいるからこそ、ちょっとしたはずみでうつ病になってしまいます。
僕も休職したら仕事はどうなる?と責任を感じ、うつ病との診断後も出社を継続していました。残酷な話ですがあなたがどんなスーパーマンだとしても、休職後も仕事は回ります。それが会社という組織です。
そのあたりの僕の葛藤は以下のエントリに記載しています。
理由3. 自分と向き合うための判断力を取り戻せる
これが一番大事です。自分と向き合うためには、まず判断力を回復させる必要があります。僕の場合は休職してから約1ヶ月かかりました。
そもそもうつ病の状態ではまともな判断力がないんですから、今の自分の状況を冷静に判断できません。僕も自分で判断して、うつ発症後も出社継続しましたが、即休職すべきだったと後悔しています。つまり当時はまともな判断力がなかったということです。
そもそもあなたは何のために働いていますか?
- 家族と暮らす生活費を稼ぐため
- 趣味のための原資
- 自己実現のため
- 将来的な夢のため
僕の場合は「家族と暮らす生活費を稼ぐため」でした。しかし、長時間労働とうつ病によって「家族と暮らす生活」を失いかけていたんです。これでは何のために働いているのかわかりません。本末転倒です。
休職するまではそれすらわかりませんでした。休職して約1ヶ月後に自分と向き合い状況と感情を整理した時、ようやくそれがわかったのです。
人生の優先順位を見直し、余計なものを捨てていく、これがうつ病の寛解およびその後に向けた次のステップにつながります。
まとめ
いかがでしたか?「当たり前のことしか書いてないじゃないか!」と思いましたか?それであればあなたは大丈夫です。
上記の当たり前のことを判断できないのがうつ病です。
結果、僕は休職を選択してよかったと思っています。なぜなら家族との時間が十分に取れているからです。妻との会話、子どもの成長に関われる時間。
その時間を確保できるということは素晴らしいことだと思いませんか?
もちろん、将来への不安はありますが、それを差し引いても言いたいです。
「休職してよかった!」
休職に躊躇している方が1日でも早く休養を取れますように。少しでも後押しになれば幸いです。
でも金銭面が不安だよ!という方は以下の記事をご覧ください。
※本記事はあくまで管理人個人の経験に基づくものですので、休職にあたっては医師と1日でも早くご相談ください