最終更新日)2019年1月31日
霊が出るけど怖くない話
あなたは霊を信じますか?
僕はスピリチュアルなものや霊などは基本的に信じていません。
しかし、日本人でお彼岸やお盆、お葬式といった生活に根ざした風習がある限り、まったく無視もできないと思っています。
もしかしたら真剣に霊による被害で苦しんでいる人もいるかもしれません。
僕の先輩もその一人でした。
しかし彼は霊を一喝することで霊に反省させ、それを鎮めてしまった猛者でした。
決して、怖い話ではありませんので、最後までお付き合いいただければうれしいです。
僕の先輩は頭のネジが飛んでいた
その先輩とは僕が10代の時に出会いました。
当時僕は夜の街でストリートミュージシャンをしていて、夜の街でギターを弾きながら歌を歌い、小銭を稼いでいました。
その頃に、同じくストリートミュージシャンをしていた、ある先輩と出会いました。
その先輩は常に、髪が真っ青で逆立てられており、ライダースのジャケットを羽織り、迷彩のパンツという格好でした。
格好からも分かる通り、先輩は頭のネジが飛んでいる方でした。職業は美容師でした。
僕は先輩のことを「殿」と呼んでいたので、敬意を込めて、先輩のことを以下「殿」とします。
当時の殿のアパートには霊がいた
当時の殿のアパートは2階建ての木造だったのですが、珍しいことに2階の部屋に続く階段がらせん階段だったのです。
雰囲気としてはおしゃれというよりも「なぜ?」という違和感の方が先にくる物件でした。
殿曰く、霊は毎晩殿が布団に入って眠ろうとする時にやってくるのだそうです。
殿と霊の毎晩のルーティンは以下の通りです。
- 布団に入って電気を消すと、霊が部屋に入ってくる
- 姿は見えないけど、女の霊だとわかった
- 殿の両足首を勢いよくつかんでくる
- それ以上は何もしない
- 殿も女の霊に足首をつかまれたまま気にしないで寝てしまう
霊に足首をつかまれているのに、気にしないで寝てしまう殿も大したものです。
殿は極度の負けず嫌い
殿は極度の負けず嫌いでした。
毎晩、一方的に足首をつかまれるのが悔しくてしょうがなかったそうです。
怖いより先に悔しさがくるとは大物です。
そして、殿はある日ひらめきました。
「足首をつかむ直前に足を折り曲げて引いてしまえば、霊は足首をつかめず空振りして悔しがるはず!」
天才の発想です。霊に一泡吹かせてやろうというのです。
そして霊の空振り作戦決行、しかし失敗
殿はついに行動に出ます。いつも通り布団に入ると、霊がやってきます。
そして、殿は足首をつかむタイミングで足を引こうとするのですが、霊の方が一枚上手で、足を引く直前に足首をつかまれてしまうのだそうです。
そんな殿の作戦失敗が2週間ほど続きます。しかし、さすがに殿もミュージシャンのはしくれ。2週間のうちに、霊が足首をつかむリズムを見切ったのだそうです。
いよいよ作戦成功!しかし...
ついにその時は訪れました。
殿がいつも通り布団に入り、いつも通り霊がやってきます。殿はリズムをとりながら霊が足首をつかんでくる瞬間をはかります。
そして、いつもより一拍、足をひくのを早めました。
予想通り、霊は殿の足首をつかめず空振りしたのです!作戦成功です!
すると、霊も負けず嫌いなのか予想外の行動に出ます。
ガサガサガサガサガサ!!!!
なんと、殿の布団の上を這って、殿の方に猛スピードで接近してきたのです。
そして殿(美容師≠霊能者)は霊を鎮めた...
さすがの殿もこれまでにない霊の予想外の行動に驚きました。
しかし、ここで
「うわーーーーっ!!!」
とでも叫ぼうものなら霊の思うつぼ、殿の負けです。
そこで殿は反射的に
「コラーーーっ!!!」
と霊を一喝したのです。霊を悔しがらせようというのも天才の発想なら、霊を怒ろうというのもまた天才の発想です。
すると、誰もいない部屋から、か細い女性の声で
「えっ...?!」
という声が聞こえたそうです。そして、その瞬間から霊は姿を消したそうです。
PUNKS NOT DEADとは言いますが、殿(美容師)は霊能者でもないのに、霊を鎮めてしまいました。
それ以来、霊も怒られて反省したのか、殿の前にはあらわれなくなったそうです。
やっぱり霊も元は人間、死んでからも怒られるのは嫌
さすがに霊といえども元は人間、死してなお、怒られるというのはあちらさんも嫌なんでしょうね。
僕だってまだ死んでないですけど、怒られるのは嫌です。
死んだ途端に、怒られることに耐性がつくわけじゃないですからね。
という頭のネジの飛んだ殿の話でした。信じるか信じないかはあなた次第です。