最終更新日)2019年1月31日
話題の投資信託 WealthNavi(ウェルスナビ)を5ヶ月間やってみた
WealthNavi(ウェルスナビ)をやってみました。
ネット上では評判がいいですが、実際どうなのか?
自分の資金を投入して試してみました。
結論からいうと、ネットの評判ほどの魅力はありませんでした。
ただし、高額な手数料と引き換えに面倒な手間を省いてくれるので、投資スタイル次第では適している人もいると思います。また、米国ETFを直接買うにはまとまった資金がないと効率が悪いので、それを少額から実現できるのはいい点でした。
以下にレビューを記載します。
WealthNavi(ウェルスナビ)とは?
国際分散投資での信託を扱う急成長している会社です。
WealthNaviの特徴を簡単にまとめると以下の通り。
- ロボアドバイザーが分散投資のポートフォリオを自動作成、再調整
- 長期投資を前提にしたサービス
- 投資対象は各ETF、債券、金、不動産など
つまり、投資資金に対してロボアドバイザーが投資対象を選択して購入していくというサービスですね。淡々と長期投資での積立てを前提にしているは合理的です。
なぜWealthNaviに投資したか?
僕は賃貸派なので、家を買う予定がないので、頭金を預貯金で貯めておく必要がありません。
今後の大きな出費は子どもの学費くらいです。
そのため、その分を投資に回すことが可能です。
そのため、ほったらかし運用に適した投資信託を探していたのが理由です。
裏を返せば、優秀なパフォーマンスの投資信託であれば、別にWealthNaviである必要はなかったわけです。ただ、ネット上での評判が良かったので試してみたかったという単純な動機です。
以上の理由でWealthNaviでの資産運用を開始し、僕が感じたメリットとデメリットを実際に挙げていこうと思います。
気になる運用実績は?
気になるのは運用実績。ネット上では10%近くのパフォーマンス例もあり、相当期待してました。もちろん、これは株価が好調だった2017年の実績であることを差し引いて考えねばなりません。
月ごとの僕の運用実績を以下に公開しますので、ご覧ください。
期間 | 総投資額(円) | 評価額(円) | 損益額(円) |
---|---|---|---|
2018/01 | 1,380,000 | 1,370,701 | -9,299 |
2018/02 | 2,630,000 | 2,508,566 | -121,434 |
2018/03 | 3,150,000 | 2,996,276 | -153,724 |
2018/04 | 3,180,000 | 3,109,663 | -70,337 |
2018/05 | 3,210,000 | 3,150,568 | -59,432 |
2018/06 | 3,210,000 | 3,140,242 | -69,758 |
2018/07 | 3,210,000 | 3,205,471 | -4,529 |
2018/08 | 3,210,000 | 3,221,873 | +11,873 |
2018/09 | 3,210,000 | 3,263,120 | +53,120 |
2018/10 | 3,240,000 | 3,048,803 | -191,197 |
2018/11 | 3,270,000 | 3,162,967 | -107,033 |
2018/12 | 3,300,000 | 2,930,393 | -369,607 |
※月末時点の実績
うーん、期待したほどの成果は出ていません。2018年は2017年に比べて相場状況が良くなかったので、当然ですね。
インデックス投資のWealthNaviなので、この運用実績でサービスの判断するのは妥当ではありません。
WealthNaviの運用面での考察
WealthNaviで資産運用してみて、以下のような特徴がありました。典型的なインデックス投資の特徴そのものです。
- 国際分散投資だが、結局は米国株(WealthNaviの場合はVTIというETFと連動)のパフォーマンスとの相関関係が強い(世界経済の仕組みを考えれば当然)
- 現在は損益額のマイナスが大きいが、各投資商品(主にETF)を安値で購入できていることの裏返し、今後の米国株の回復とともにパフォーマンスは改善するはず
- WealthNaviはドル建て資産のため、円高局面の場合は日本円での評価額が目減りする
WealthNaviの不満な点
WealthNaviで資産運用してみて、不満な点が3点ありました。
1. 自動積立引き落とし日から新規の投資商品購入までに3営業日のタイムラグ
これが最大の不満です。
WealthNaviの自動積立は月1万円から可能です。毎月26日に指定口座から引き落とされ、3営業日後に新たな投資商品購入の資金として使用されます。その3営業日の間はユーザーのWealthNavi口座に何の反映もされません。
2018年5月3日更新)2018年5月2日に5営業日から3営業日にタイムラグが短縮され、引き落とし日も毎月26日以外も選択可能に変更されました
しかし、WealthNaviにはユーザーによる手動入金の仕組みがあり、こちらを利用した場合は、該当営業日のうちに新たな投資商品を購入してくれます。(この場合の最低入金額は3万円)
このように、投資商品の即日購入の仕組みがあるにも関わらず、なぜか自動積立の場合は3営業日かかります。これの何が問題なのかを説明します。
例として、1年間自動積立を、僕の設定している月3万円で運用した場合で考えます。
1年間の自動積立額
3(万円) × 12(ヶ月) = 36(万円)
ユーザーのWealthNavi口座に反映されない期間
3(営業日) × 12(ヶ月) = 36(営業日) ≒ 2(ヶ月)
※1ヶ月を20営業日として計算
つまり、僕は1年のうち約2ヶ月間、36万円分の投資機会を失っていることが問題です。逆にWealthNavi側は、1年のうちに約2ヶ月間、36万円を無利子で借りることができると言えます。
業者側の事情があるのでしょうが、限られた資産を運用している投資家には、この投資機会損失は大きな痛手です。この期間は銀行の微々たる預金利息すらつかないからです。
毎月3万円以上の入金が可能であれば、WealthNaviの仕組みを利用した自動積立はやめるべきです。
2. 年約1%という手数料
投資を委託している以上、信託手数料を支払うのは当然のことです。しかし、事前に分かっていましたが、WealthNaviの信託手数料は年約1%です。近年、多くの投資信託の手数料が値下げされ0.2%以下が珍しくないことを考えると割高に感じます。
WealthNaviの1日あたりの手数料
計算日の資産時価評価額(円) × 1%(手数料) × 1.08(消費税) ÷ 365(日)
上記より、ユーザーは年利約1%の手数料を払うことになり、年間の運用利率から-1%ということになります。つまり、年利5%の運用パフォーマンスだった場合は、手数料差引後に実質4%になります。
WealthNaviのパフォーマンスは米国株ETFのVTIという商品の実績と強い相関関係があります。VTI自体の手数料は約0.1%です。個人でVTIを購入した方が高いパフォーマンスを得られる可能性が大きいです。ただし日本円で購入する場合は為替手数料などの考慮が必要のため、まとまった資金での購入でなければ効率が悪いです。
少額購入を実現するための割高な手数料と考えれば割切りはできます。
3. 不要なリバランス
WealthNaviの売りの一つに「ロボアドバイザーが分散投資のポートフォリオを自動作成、再調整」とあります。
資産の配分が当初の設定とのズレが生じた時に、ロボットが自動売買が発生します。Aという商品を売って、Bという商品を買い、AとBの保有バランスを保つ、リバランスのためです。
このリバランスが曲者で、高々数百万の資産でリバランスは不要と考えています。しかも稼ぎ頭だった米国株を売却して、調子の悪い新興国株を買うなど、バランスを保つために収益を損なうという本末転倒ぶりが見られました。
新たな投資資金でのみリバランスしてくれるんならいいんですけどね。
まとめ:どういう人がWealthnaviの投資に向いているか?
結論としては、上記のようなデメリットを理解した上で投資する必要があります。
そのため、個人でETFの買付の手間の時間を捻出できない方に向いています。
また、少額からドル建ての米国ETFを購入してくれるなど、少額資金で運用されたい方にも向いていますね。
あとは、万が一、急に現金が必要になった際、Wealthnavi口座の出金日数が短いのもメリットです。投資信託にも資産の流動性(出金までのスピード感)を求める方にも向いています。
あと考慮すべきは、WealthNaviはドル建ての商品ですから、円高局面には資産が目減りします。日本で暮らす以上は円資産が必要です。そのため、別の為替変動に強い商品との組み合わせを考慮する必要もあります。
そこは別の投資商品での考慮が必要ですね。