集団生活における理不尽なルール
集団生活にはルールがあります。国には法律があるにも関わらずです。
「人が3人集まれば派閥ができる」
という言葉があるように、集団生活の中では独自の社会が生まれます。時にそれは社会性とも呼ばれます。
僕は高校時代、田舎の学校で寮生活をしていました。その寮には、学校が作った寮規則の他に、独自の体育会系の理不尽なルールがたくさんありました。
ここでは、理不尽なルールに染まっていった僕の経験を記載します。一つの寮の特殊な例だと思わずに、あなたの所属する集団に対象を置き換えて読んでいただきたいです。
寮に実際にあった理不尽なルール
僕のいた寮には下記のような理不尽なルールがありました。もちろん、違反すれば指導行為という名の暴力が待っています。
- 使いパシリ(上級生から1年生に対しての命令)
- 喉を潰すくらいの大声の挨拶の強要
- 一発芸の強要
- 寮の食堂、風呂場での使用可能範囲の限定
- 上級生のための食事作り(インスタントラーメンなど)
みんな1年生の頃は「嫌だ、くだらない、絶対こんなルールなくしてやる」と思っていました。しかし、2年生に進級し、義務が免除されると、これを1年生に強いるのです。
そればかりか、社会性を身につけ、寮生としての絆を深めるためには素晴らしいルールだと思い始めるのです。実際、僕もそう思っていました。
寮内でのみ存在した独自の身分制度
寮の中では、学年という大きな階層がありました。そして学年ごとにスクールカーストのようなピラミッド構造の身分制度の序列が存在したのです
階層の上に所属する寮生だけが、寮内で大きな権力を持ち、優雅な寮生活を送れるのです。具体的には上記で説明した寮のルールの強要が可能なのは階層の上だけです。
階層の下に所属する寮生は下級生のパシリ利用などのシステムを利用できません。
このように、自然と全員が上を目指さざるを得ない独自の身分制度があったのです。そのため、下級生はあの手、この手で上級生に気に入られようとします。
一番有効だったのは、自身と同じ出身中学校に権力をもったOBがいることです。僕の場合は、遠方からの進学だったので、OBがいませんでした。そのため僕のように、OBに頼れない人間は、自らの力でのし上がっていくしか方法がありませんでした。
社会との類似点
上記で説明した、理不尽なルールと身分制度は、まるで社会の縮図です。
会社の以下のようなルールも、会社の就業規則にない独自の理不尽なルールと言えないでしょうか?
- 有給がとれない
- つきあい残業
- 半強制の飲み会
これらは、会社の経営陣に指示されたルールではありません(一部のワンマン中小企業は除く)。
にも関わらず、集団の構成員が勝手にルールを作り上げ、相互監視の状況を生み、お互いを締め上げていく...。
そんなルールおかしい、と思いながらもみんな無言でそれに従っていくのです。
しかも会社には昇進という独自の身分制度システムがあります。これは寮でのルールと全く同じです。
何が寮の理不尽さを改革したか?
僕の卒業後、寮の独自ルールはかなり緩くなったそうです。それは入寮した我が子を心配した保護者からのクレームがきっかけでした。
僕らは当時「なんだよ、あのくらい。マジでああいうのをモンスターペアレントって言うんだろうな!」とすら思っていました。
洗脳とは恐ろしいと思いませんか?
しかし、恐ろしいことに、僕が入寮する30年ほど前に、寮の厳しさに耐えかねて自殺した寮生がいたそうです。それにもかかわらず、寮の独自規則はなくなりませんでした。
実社会の場合もそうです。「ニュースバリューのある事件」によってでしか変われないのです。しかし、電通の高橋まつりさんが自殺した後、あなたの会社の労働環境はよくなりましたか?よくなっていれば、それはマシな会社です。僕の会社は何も変わりませんでした。
一番恐ろしいと思うこと
僕の場合は卒業してから、やっぱり寮のルールはおかしい、と気づくことができました。しかし、まだその洗脳から解けていない人がたくさんいるということです。おそらく、他の学校の寮にも同じような理不尽なルールは存在するでしょう。
高校の友達からは「なんだかんだで、寮楽しかったよね。」という話がいまだに出ます。今の僕はそうは思えません。
実は、僕の高校は、たくさんの財界人を輩出しています。もしかしたら、その寮の洗脳されたままの人が、あなたの会社の重役にいるかもしれないのです。
そんな人が経営陣に上り詰めた会社に働き方改革ができると思いますか?