地方出身者から見ると、地方創生は交付金の無駄。法人減税もITも限界
僕は田舎の出身です。その地方出身者の視点から見ると、現在の地方創生は税金の無駄です。わかりやすくいうと、以下の安易な発想が地方創生です。
- 地方には現状、まともな会社がない
- 田舎で働く人がいないから、若者も都会に流出する
- 都会は出生率が低いから、少子化が加速する
- だから出生率の比較的高い、地方で頭使ってがんばって会社なり産業作ってね!税金バラまくから!
- 地方に会社ができれば、都会に行く人も減って、地方の人口減少も食い止められるでしょ?
- そうすればいずれ都会から地方へ行く人も増えるでしょ?
どうせなら、以下の方法のような劇薬を投下しないと、東京も地方も疲弊して税金の無駄遣いに終わってしまいます。
- 国内の一部地域にタックスヘイブンを容認する
- 地方の裁量で法人税の大幅な削減を可能にする
- いっそ地方を切り捨てて、東京の一極集中を促進させる
3案を挙げてみましたが、どの方法も現実的ではありません。
案1のタックスヘイブン(早い話が法人税0%)は国際的にも監視の目と批判が厳しいので、日本の地方活性化の名目ではまずできません。(できるとすれば、アメリカの戦略上の重要拠点のある沖縄くらい)
案2では、法人税の大幅な削減を実施している自治体はあるようですが、有期限の優遇措置のようです。これでは企業が地方に移転する旨味はありません。企業は中国や東南アジアに移転した方がマシです。
案3は極論です。どうせ地方は衰退するのだから、地方を切り捨ててしまうということです。これも国民感情として無理でしょう。
そもそも地方創生の基本方針は?
あなたは地方創生の基本方針をご覧になったことがあるでしょうか?以下にリンクを貼りますので、ご一読をおすすめします。
どう思われましたか?これがあなたの会社のサイトや会社の中期計画の提案内容だとしたら、怒りすら湧いてきませんか?
税金を使って、この中身のスカスカな地方創生のプランやサイトです。
かつて地方は、雇用場所の確保のために企業誘致に躍起になっていました。しかし、現在の企業の立場では、地方よりも中国や東南アジアに進出した方が、はるかにメリットがあります。
今でも地方は企業誘致に信じられないくらいの優遇条件を出していますが、せっかく整備した工業団地はガラガラです。
僕は地方出身者、地方の現状は都会の人の想像よりもはるかにひどい
僕は田舎県の県庁所在地の出身です。
実家に帰るたびに、街の状況のひどさに絶望します。
地方の街並み(県庁所在地レベルで)
政令指定都市のない地方、もしくは東京へのアクセスの悪い地方都市は本当に以下の通りです。
- 新しくできる建物は介護施設か葬祭会館(葬式場)
- 駅前にはシャッター商店街
- 駅前一等地の、かつて百貨店だった場所にはマンション
- 買い物はイオンモール
- 娯楽はパチンコ
- 車は軽自動車、ヤン車すら若者減少であまり見かけない
県庁所在地ですらこれですから、それ以外の町や村はさらに悲惨な状態です。
地方に住む人たち
地方ではお金をもっている人がいません。お金をもっている人は大体以下に当てはまります。
- 古くからの土地持ち
- 医者
- 公務員
- 銀行員
- 上場企業の支店勤務者
- 大規模の農家および漁師
誤解を恐れずに言えば、それ以外の半数はいわゆるDQNです。
田舎はいい人が多い、というイメージがあるかもしれませんが、それはテレビの見過ぎです。田舎では、人間関係のしがらみが強すぎます。会話の大半は誰かの噂話です。
葬式の場でさえ、親戚から段取りの文句を言われる始末です。死んでもなお、しがらみから逃げられないのが地方なのです。実際に、私は短期間に祖父母の葬式を複数経験しました。田舎の葬式だったので、しきたりが大変だったことを覚えています。下記記事でも記載していますが、持ち家派から賃貸派に転向するきっかけでした。
高い教育を受けた人の方がよほどいい人が多いです。誤解を恐れずに言えば、県民の平均所得との相関関係があると思っていいでしょう。つまり、都会の方がいい人の割合が多いです。
正直、田舎の方が東京より消耗します。
安易な移住を考えても、子どもの教育施設がない
某有名ブロガーさんが、地方に引っ越してその良さをアピールしています。それは本人が都会で高い教育を受けたからこその話です。
いざ、子どもが生まれると、学校に通わせる必要があります。田舎には優秀な私立の小中学校がありません。そうすると、公立学校で、金髪の両親に育てられた後ろ髪を伸ばした子どもと同じクラスで勉強させるしか選択肢がないのです。
僕はうつ病をきっかけに実家に帰ることも考えましたが、子どもの教育を考えると、地方は最悪です。(自分もその環境で育ったので偉そうには言えませんが)
当然、人口も減る一方
田舎の数少ない進学校に集約された優秀な頭脳は、大学進学とともに東京へ行ってそのまま帰ってきません。
なぜなら、その優秀な頭脳を受け入れられる産業が地方にはないからです。それまでの教育コストに見合った収入を得られる会社がないのです。
人は減る一方で、老人ばかりが歩いています。
地方× IT?市場が小さすぎて採算が取れません
本来、場所に縛られないはずのIT産業。しかし、地方では全く機能していないのが現状です。
なぜならITでビジネスを活性化させようという会社が少ないです。市場自体があまりにも小さく、採算が取れないのです。
仮にあなたは飲食店を経営するとして、人が誰もいない山奥に店を構えるでしょうか?そんなことはしないですよね。
結局、地方でITは割に合わないので、東京で起業する方が賢明なのです。
せいぜい開発拠点を地方に作って、低賃金で人を雇い、都会の企業から受注したシステムを構築する程度です。
小さなコミュニティでITを活用した成功例などもありますが、地方活性の起爆剤になるような規模ではありません。
まとめ:ではどうすれば?
冒頭で紹介したタックスヘイブンや法人税の大減税も実現には国内外に高い壁があります。しかも、これらの方策もしょせん、短期の延命措置にしかなりません。
国内企業の誘致にはもはや限界があるからです。
かといって外国企業が、わざわざ日本の地方に進出してくるメリットもありません。そうした外国企業はすでに東京のオフィスを引き払って、実質的なタックスヘイブンの香港やシンガポールに移転しています。
地方出身者としては悲しい現実です。
唯一可能性があるとすれば、日本が移民国家に舵を切ることでしょう。それにより、人口の減少を食い止めるのです。それもどの程度の効果があるのかわかりませんし、地方に効果が波及するかどうかも未知数です。
未来は誰にもわかりませんが、今の地方創生のプランでは地方の明るい未来が見えないことは確かです。