のほほん帝国

のほほんとした雑記です。

「世界でいちばん悲しいオーディション」努力が報われるか不安な人へ

努力は報われるのか?

「努力は報われる」

 

 そのような言葉で励まされた経験は誰にでもあるのではないのでしょうか?我々も子どもの頃から親や社会からの教育の中で自然と努力を促されてきました。その中で、当然の疑問が発生します。

 

「努力は報われるのか?」

 

 これは気になるところです。せっかく努力してもそれが報われなければ徒労に終わってしまうからです。そんな誰もが気になる命題に対して以下のような調査結果があります。

 

#7.38 努力は報われるか (第13次 2013年)

 

 「努力が報われない」と判断することはとても勇気が必要な行為です。努力してきた自分を否定してしまうことになるからです。全ての性格は、良くも悪くも自己を正当化するためのものに形成されたものという性質上、自己否定ほど辛いものはありません。そうした傾向を反映してか、約7割の日本人が努力は報われると感じていることがわかります。自己否定しづらい命題設定である以上、過半数がそう感じることは自然であると言えます。

 しかしながら、この調査結果からは、努力が実際に報われるかどうかの因果関係を測ることできません。なぜなら、個人の努力に対して結果が実ったかどうかを客観的に評価する指標が世界のどこにも存在しないからです。指標がないということは、どう評価することも自由です。例えば、とある資格試験に落ちたとしても、「資格は取得できなかったが、試験勉強を通してスキルを身につけることができた」と言い切ってしまえば、努力は報われたことになるのです。「いや、資格取れなかったんだからダメ」と否定することは誰にもできません。このように考えることで「報われない努力はない」と言い切ることも可能であるということです。

 

 ただ、気をつけなければいけないのは「努力は自発的に行うものであり、他人から強制されるものであってはいけない」ということです。これを許してしまうと、人間の心理上、「他人から努力を評価されることで自分を保つ」人格が形成されてしまうからです。

 

 幼少期から、親から努力を評価されてきた人たちのたどり着く先は、努力を続けることで他人から自分を認めてもらおうという人格です。このような人たちは成果で評価されることを知らずに成長してきました。このような人が多数を占める職場に成果主義の評価を導入するとどうなるでしょうか?努力アピールの無駄な残業が増えてしまうという悲しい悪循環を生んでしまいます。何事にも努力は必要です。しかし、努力自体が自己実現の手段になってしまっている人たちが今後の働き方改革を迫られる中で自分の存在価値を失ってしまわないかは非常に心配なところです。

 

 子どもをもつ親として、努力を安易に評価することはできるだけ避けていきたいと思っています。難しいことですが。

 

 

がんばったから評価される世界でもない

 程度の差はあれ、誰もが努力します。誰もが行う共通体験ということは、多くの人にとってのコンテンツになり得るということです。一世を風靡したオーディション番組「ASAYAN」は努力をうまくコンテンツに昇華した一例でした。オーディションの名の下に課せられる課題に立ち向かっていった様子を今も覚えている方も多いと思います。

 

 そんな感覚に近いドキュメンタリー映画があります。それが「世界でいちばん悲しいオーディション」です。 

www.youtube.com

映画「世界でいちばん悲しいオーディション」オフィシャルサイト|WACKアイドルオーディションに完全密着した衝撃作。2019年1月11日(金)より絶賛公開中!!

 

 最近人気のアイドルグループ(BiSH/BiS/GANG PARADE/EMPiRE)が所属しているWACKという芸能事務所があります。 この事務所の合同オーディションが今回の映画の舞台です。この映画ではオーディションの様子が淡々と描かれています。予告編の中でも語られていますが、事務所社長の渡辺淳之介氏が以下のようなことを語っています。

 

「がんばったから評価される世界でもないじゃないですか」 

 

 オーディションの中では努力が求められるのにも関わらず、こんなことを言われてしまっては身も蓋もないような気がします。しかし、オーディションを通過した向こう側の世界ではまさに「努力が評価される世界」ではありません。その残酷な現実を明言することは優しいことだと思います。ガムシャラな努力信仰がはびこる世の中で、このような現実を教えてくれる人は、社会では意外なほど少ないのです(もちろん、努力自体を否定しているわけではないことは本編中でも語られています)。
 

 本編の中ではオーディション参加者はネットで炎上してしまいそうな、かなり理不尽な課題を強いられます。しかし、それに対して立ち向かっていく姿勢に、今の自分の努力の方向性、度合いが正しいのかをひたすらに考えさせられます。鑑賞していると感情に火をつけられる感覚があります。僕は「人間の感情を動かす映画が素晴らしい映画」という持論があるので、この映画はオススメです。アイドルファン向けの映画で終わらせるにはもったいない作品です。

 

(評価★★★★★) 

 

 

【余談】

 ちなみに、WACKはアイドル界隈ではかなり給与を支払うホワイトな事務所だそうです。これは以前紹介したアイドルグループBiSの待遇の悪さの反省から、独立して現在の事務所を設立したそうです。こういうのは素晴らしいことですね。

www.yossy-blog.net